誰の言葉?

 

誰?

 

「かのナポレオンはこう言った」

「あの有名な人が言っている」

「昔から、こんな言葉がある」…

 

過去の偉業を成し遂げた人物や、

現代でも有名な人たち…

 

そういった人の言葉を借りてくる場面は、

誰しも日常で何度か経験のあることでしょう。

 

それらを自分の心の指針としたり、

気持ちを奮い立たせるために自分に言い聞かせる時には

頼もしい言葉と言えるでしょうが、

 

場合によっては、自分以外の人への

“お説教”のために使われることもしばしば。

 

言い切りの形であることの多い格言は強く、

説得力があるように思えてしまいますが、

 

そんな場面に出くわすたびに

私が気を付けようと思うのは、

 

「その言葉は一体、いつ、どこで、誰が

どんな状況の中、どういう意味で、

何を思いながら言った言葉なのか?」

 

と、考えてみることです。

さらに言えば、

 

「この人はその言葉を、

どのくらいまで深く知り、

考えた上で使っているのかな?」

 

ということも。

 

 

言葉はいつだって、自分の意図して発した

そのままの意味で相手に伝わってくれるとは限りません。

 

ましてや、他人の発した言葉をそのまま使う時には、

使う人の意図も混ざるので、伝言ゲームのように

だんだん形が変わっていってしまいますね。

 

 

例えば、

「働かざる者、食うべからず!」

とはよく聞く言葉ではありますが、

 

それを最初に言葉にした人はきっと、

怪我や病気で休んでいる人などに対して

言ったわけではないはずです。

 

 

言葉の歴史を詳しく知らなくても、

自分なりに考えて解釈して、

「確かに納得できる、心に留めておこう!」

と思えることは素晴らしい事です。

 

でも、強い言葉が多いぶん、

むやみに相手を責める時に使われる場面も多いものです。

 

「責められている」と感じて苦しい時は、

おまじないのように心で唱えてみるといいでしょう。

 

「それは、誰の言葉?」

 

脅かすように振り回される言葉のナイフが、

実は発砲スチロール製だったことに

気付くことができるかもしれない、

私からのお守りの言葉です。

 

 

 

投稿者プロフィール

中根春奈
中根春奈
誠実さと敬意をもって、知ること、考えることを大切にしています。

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